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財務

令和4(2022)年度 事業報告書
  【貸借対照表と内訳表】 【正味財産増減計算書】 【正味財産増減計算書内訳表】
  【財務諸表に対する注記と附属明細書】 【財産目録】 【監査報告書】
令和5(2023)年度 事業計画
  【正味財産増減予算書】

令和4(2022)年度 事業報告書(2022年4月1日~2023年3月31日)

はじめに

令和4年度も、前年に引き続き新型コロナウイルスの感染防止のための舞台公演の規模の縮小が続いた。本法人の会員はじめ全ての俳優、音楽家と劇場、興行界が甚大な打撃を受け続けた。このため、本法人の事業も事前の計画通りにはいかず、「俳優祭」開催の見通しもたたないまま、収入が減少した。

事  業

I. 公益目的事業

  1. 【1】稽古費用および自主的発表会の費用の補助
    若手俳優が個々に自主的に習う日本舞踊、長唄、義太夫、常磐津、清元、謡曲と仕舞、狂言などのお稽古を奨励するため、稽古費用の一部を補助した。また、例年行われていた個人または小グループの自主的な研究公演や小規模な発表会などへの補助は、今年度も実施が少なく、申請がなかった。
  2. 【2】歌舞伎俳優等の顕彰
    1. 1)優れた技芸を示した歌舞伎のわき役俳優を顕彰する「日本俳優協会賞」は、令和元年度に新制度がスタートしたが、コロナ禍により外部の選考委員と松竹㈱演劇部、本協会の役員などによる委員会が開催できず、令和4年度も実施は延期となった。
    2. 2)文化庁と連携して、国の褒章・叙勲や文化庁長官表彰などに、優れた活動を行った俳優や歌舞伎音楽演奏家、舞台スタッフなどを推薦した。
  3. 【3】名題資格審査の実施
    名題資格審査は隔年実施であるが、これもコロナ禍により実施できなかった。
  4. 【4】研修発表会の開催
    「俳優祭」はコロナウイルス感染拡大防止のため、当面、開催が難しいと判断し見送った。
  5. 【5】普及事業(その1)『かぶき手帖』2022年版の編集発行
    歌舞伎公式データブック『かぶき手帖』2023年版を発行した(2023.01.02)。
  6. 【6】普及事業(その2)インターネット歌舞伎公式サイトの公開と運営
    1. 1)令和2年4月にリニューアルした「歌舞伎 on the web」の公開運営を行うとともに、「歌舞伎公演データベース」「歌舞伎俳優名鑑」(「現在の俳優篇」「想い出の名優篇」)「歌舞伎演目案内」とその英語版“Kabuki Plays Guide”、「歌舞伎用語案内」のデータの追加、修正や更新などを行った。
    2. 2)コロナウイルス感染拡大により、歌舞伎等の劇場公演の規模の縮小などの事態に対応して、歌舞伎俳優・演奏家と歌舞伎ファンや一般の愛好家を直接つなぐ日本俳優協会・伝統歌舞伎保存会YouTube公式チャンネル「歌舞伎ましょう」を令和2年に立ち上げた。以後、令和4年度もペースを落としながら、公開を続けた。総視聴回数332万回、閲覧された。
  7. 【7】普及事業(その3)機関誌及び図書の発行
    1. 1)「日俳協ニュース」(随時、発行部数約700部)の第214~220号を編集発行し、会員と関係方面に配布した。
    2. 2)会員及び歌舞伎関係の演奏家、作家・演出家、研究者、関連団体、興行・劇場関係などを多数掲載した『俳優手帳』2023年版を編集し、12月1日に刊行、会員と関係方面に配布し、利用に供した。
  8. 【8】調査研究事業
    1. 1)歌舞伎の継承に必要な歌舞伎公演等の調査を継続し、毎月の主要劇場と地方公演の演目・配役等の情報を「歌舞伎公演データベース」に蓄積し、「歌舞伎 on the web」のインターネット・コンテンツとして公表し、広く一般の利用に供した。
    2. 2)会員等の毎月の出演劇場を調査、記載した「動静表」を毎月作成し、関係方面に配布するとともに、インターネット公式サイト「歌舞伎 on the web」にアップして、一般に公開した。
    3. 3)歌舞伎の主要演目を初心者に分かりやすく紹介する「歌舞伎演目案内」とその英語版《Kabuki Plays Guide》と「歌舞伎用語案内」の公開と情報の修正などを行った。
    4. 4)歌舞伎に関する書籍、DVD、新聞雑誌などの資料を収集整理し、会員及び一般の利用に供した。
  9. 【9】歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業
    1. 1)歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業。 歌舞伎の出演者の権利を守り、かつ円滑で適正な利用を促進するための窓口として、一般からの利用申請を受け付け、出演者からの許諾を代行する業務を行った。令和4年度もコロナウイルス感染拡大のために劇場公演が規模の縮小を余儀なくされ、その補完として歌舞伎の舞台公演を動画に収録してインターネット有料配信する事業が増加した。これに対応して、本法人が令和2年度から松竹株式会社との間で取り交わした「動画配信サービスMIREIL(ミレール)による歌舞伎等の映像の配信に関する覚書」や、令和3年2月に日本芸術文化振興会(国立劇場)との間で締結した公演記録映像の有償配信するための契約書などによる権利処理を行った。そのほか、ブロマイドのネット通販にも対応して、権利処理を行った。
    2. 2)使用者から2022年1月~12月までに受領した使用料を、令和5年2~3月に、会員等の権利者に分配した(約4,200万円)。
    3. 3)歌舞伎を広く普及するための利用方法と、適正な分配を行うため、松竹株式会社や日本芸術文化振興会(国立劇場)、NHKとの「覚書」に則り、歌舞伎の舞台映像と写真の権利処理を行った。
  10. 【10】歌舞伎俳優等の舞台活動の向上のための事業
    1. 1)歌舞伎公演が順調に行われるために、歌舞伎俳優やスタッフの健康管理と安全対策など、芸術活動をすすめるための環境整備事業を行った。
                                      
      1. (1)歌舞伎俳優の初任給の引き上げ
        松竹㈱の理解のもと、歌舞伎俳優の初任給を20万円に引き上げた。併せてそれまで20万円以下の名題下(成人)の給金も同様に引き上げた。
      2. (2)インフルエンザ予防接種(令和4年10月~令和5年3月上旬まで)
        会員、付人、番頭等、合計212名
      3. (3)平成25年4月から再開場した歌舞伎座地下に本法人が借用した歌舞伎用具保管のための倉庫の管理運用を行った。
      4. (4)地方公演における食費補助制度(補食費の支給)を継続して実施した。
        昨年度に博多座及び名古屋御園座と取り交わした覚書(請負契約)に基づき、補食費の支払いを本法人が一括して預かり、支払を代行した。
      5. (5)出演者交通費支給制度を継続して実施した。
      6. (6)医療費補助を実施し、歌舞伎公演の出演者とスタッフの健康管理につとめた。
        本年度の補助は15名に対し合計1,100,000円を支給した。
      7. (7)「社会保障・税番号(マイナンバー)制度の実施に対応し、会員管理システムを使用して会員等の「マイナンバー」の収集保管を行った。。
  11. 【11】その他、目的を達成するために必要な事業
    1. 1)関係団体との連絡提携
      1. (1)伝統歌舞伎保存会と協同して、歌舞伎の技芸の継承のための事業を推進した。
      2. (2)歌舞伎俳優等の著作隣接権処理の円滑化のため、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(略称:芸団協)、一般社団法人映像実演権利者合同機構(略称:PRE)の社員として、権利の保護と、映像コンテンツの円滑な流通を図った。
      3.                               
      4. (3)令和5年10月から開始予定のインボイス制度に関して関連団体と連携し、情報の収集を行った。

II. 収益事業

 コロナウイルス感染拡大防止のため、実施せず。

〔事業報告の附属明細書〕

令和4年度事業報告には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則第34条第3項に規定する附属明細書に記載すべき「事業報告の内容を補足する重要な事項」が存在しないので、これを作成しない。

令和4(2022)年度 財務諸表

令和5(2023)年度 事業計画書 (2023年4月1日~2024年3月31日)

はじめに

コロナウイルス感染拡大による影響が、この事業計画を作成している現在、まだ収束せず、少しずつ日常を取り戻しつつあるが、まだ当分の間不安定な状況が続くと予想される。その点に配慮しつつ、基本的にはこれまで通り、公益社団法人として、内閣府公益認定等委員会の監督のもとで、厳正な運営をめざすことを第1とし、コロナ感染防止への配慮もしつつ、定款に明記してあるとおり、わが国の伝統芸術である歌舞伎等の継承発展をめざして、以下の事業を出来うる範囲で推進し、公益法人としての責務を果たしていく。

事  業

I. 公益目的事業

  1. 【1】稽古費用および自主的発表会の費用の補助
    歌舞伎等の若手俳優が自主的に行うお稽古費用や、個人または小グループで自主的に開く小規模な発表会などの費用の一部を援助する。
  2. 【2】歌舞伎俳優等の顕彰
    1. 1)年間を通じて優秀な舞台成果を上げた名題および名題下の幹部・青年俳優と、舞台の陰で永年尽力した俳優を選び、第22回「日本俳優協会賞」の贈呈・表彰を行う。コロナ禍により前々年度、前年度は実施できなかったが、今期は再開できるよう、模索する。
    2. 2)文化庁と連携して、国の褒章・叙勲や、文化庁長官表彰などに、優れた活動を行った俳優や歌舞伎音楽演奏家、舞台スタッフなどを推薦する。
  3. 【3】名題資格審査の実施
    昨年度は実施年にあたったが、コロナウイルスの流行により実施できなかった。今年度は感染拡大防止対策を前提に、実施できるか検討する。
  4. 【4】研修発表会の開催
    コロナ禍により前々年度、昨年度と実施できなかった。本年度は9月28日に国立劇場を「俳優祭」のために押さえていることもあり、松竹演劇部、国立劇場と協議し、準備を進める。
  5. 【5】普及事業(その1)『かぶき手帖』の編集発行
    歌舞伎公式データブック『かぶき手帖』2024年版を令和6年1月2日に発行発売する予定で、準備を進める。編集・発行は松竹株式会社、一般社団法人伝統歌舞伎保存会との共同である。判型は大型文庫版。298頁前後。カラー写真多数。予価1,600円(税込み)。発行部数1万部。現役の歌舞伎俳優全員の最新プロフィールと活動実績、演奏家、作家・演出家などの最新データを調査し、最新舞台写真とともに掲載する。特集は未定。歌舞伎座始め全国主要劇場と一般書店、ホームページで販売する。
  6. 【6】普及事業(その2)インターネット歌舞伎公式サイトの公開と運営
    歌舞伎に関する情報を広く一般国民に提供する公式ホームページ「歌舞伎 on the web」の安全で安定したサイト運営を進める。歌舞伎公演や歌舞伎に関する最新情報を収集し、一般に公開する。YouTube公式チャンネル「歌舞伎ましょう」も、令和5年度も引きつづき歌舞伎の普及のために継続していく。
  7. 【7】普及事業(その3)機関誌及び図書の発行
    1. 1)本法人の事業を広く一般に公表し、一般の閲覧に供するため、本法人のホームページを運営公開するとともに、「日俳協ニュース」(随時、発行部数600部)を編集発行し、関係方面および一般に配布する。
    2. 2)会員及び歌舞伎関係の演奏家、作家・演出家、研究者、関連団体、興行・劇場関係などを多数掲載した『俳優手帳』2024年版を編集し、毎年1回12月1日に刊行し、広く関係方面に配布し、利用に供する。
  8. 【8】調査研究事業
    1. 1)公式ホームページ「歌舞伎 on the web」 で公開している「歌舞伎公演データベース」「歌舞伎俳優名鑑」(現役篇・想い出の名優篇)を公開するとともに、常時追加訂正等を行う。
    2. 2)歌舞伎の普及拡大のために「歌舞伎 on the web」 で公開している「歌舞伎演目案内」「歌舞伎用語案内」の運営と更新を行う。
    3. 3)歌舞伎俳優、歌舞伎音楽演奏家、歌舞伎公演等の調査を行い、データベースに蓄積し、「歌舞伎 on the web」のインターネット・コンテンツとして広く一般の利用に供する。
    4. 4)歌舞伎に関する書籍、DVD、新聞雑誌などの資料を収集整理し、会員及び一般の利用に供する。
  9. 【9】歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業
    1. 1)歌舞伎等の映像と写真を使用するための権利処理事業。
      歌舞伎の舞台記録と舞台写真等の出演者の権利を守り、かつ適正な利用を促進するための窓口として、一般からの利用申請を受け付け、一括して許諾を行う。
    2. 2)利用者からの使用料を徴収し、1月から12月までに受領した使用料を翌年3月(年度末)に権利者に分配する。
    3. 3)コロナ禍による劇場公演の規模縮小などの穴埋めのために、歌舞伎の動画を配信する動きが一気に加速した。こうしたネット時代の新しい利用形態に対応して、適切な利用と分配を行うため、松竹株式会社はじめ日本芸術文化振興会(国立劇場)、各劇場との間で劇場公演等の動画の配信についてのルールを整備するとともに、料金体系の整備をすすめる。
    4. 4)インボイス制度への取り組みのため、肖像権・著作隣接権の権利処理を行うための「分配金システム」の改修を行う。
  10. 【10】歌舞伎俳優等の舞台活動の向上のための事業
    1. 1)歌舞伎等の公演が順調に行われるために、歌舞伎俳優等やスタッフの健康管理と安全対策など、芸術活動をすすめるための環境整備事業を行う。
      1. (1)インフルエンザ予防接種
      2. (2)歌舞伎座の地下に設けられた俳優用具保管倉庫の管理については、コロナウイルス感染拡大防止のため昨年度は管理が行き届かず、荷物が乱雑になっているようなので、今後のよりよい公演活動のための環境整備の一環として、利用ルールの見直しを行う。
      3. (3)地方公演における食費補助制度を継続して実施する。名古屋御園座、博多座と締結した契約に基づき、本法人事務局で一括預かり、該当者への振込みを行う。
      4. (4)出演者交通費制度を継続して実施し、松竹株式会社および日本芸術文  化振興会(国立劇場)から受領した交通費を名題下俳優に支給する。
      5. (5)医療費補助を実施する。
    2. 2)そのほか、師弟関係や楽屋内でのルールなど、必要に応じて理事会で協議し、松竹株式会社や日本芸術文化振興会(国立劇場)などと協議する。

II. 収益事業(俳優祭)

コロナ禍により、前々年、昨年と第39回「俳優祭」が実施できなかった。今年度もコロナウイルス感染の収束が見通せない中ではあるが、国立劇場の閉場前の9月28日開催を予定している。松竹株式会社、国立劇場と調整し、準備を進める。

III. その他の事業

  1. 1)コロナウイルス感染拡大の中で、今後も公益事業を継続していくために、
    1. (1)ホームページに寄附金募集のページを開設し、歌舞伎の継承発展を支援してくださる有志からのご寄附の受け入れ窓口を開設する。
    2. (2)歌舞伎のイベントを動画で有料配信して収益につなげる方策を検討していく。
  2. 2)関係団体との連絡提携
    伝統歌舞伎保存会と協同して、歌舞伎の技芸の継承のための事業を推進する。また、歌舞伎俳優等の著作隣接権処理の円滑化のため、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(略称:芸団協)、一般社団法人映像実演権利者合同機構(略称:PRE)などと連携して、権利の保護と、映像コンテンツの円滑な流通を図る。

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